
転職の理由が「通勤がつらい」でも、いいじゃないか。
通勤がつらいから転職したい。そう思っても、「そんな理由で辞めるのは甘えでは」とためらう人は少なくありません。でも、毎日の通勤は生活の質を確実に左右します。通勤を理由に働き方を変えることは、わがままでも甘えでもないという話。
働き方・キャリア

社会人になると、いろいろな人からアドバイスをもらいます。その中でもよく聞くのが、「新卒で入った会社は、最低3年は続けなさい」というものです。すぐ辞めると根性がないと思われる、3年は我慢して一人前になれ。そう言われて、多少つらいことがあっても「まだ3年経っていないから」と自分に言い聞かせている若手の人は、少なくないと思います。
その「3年」という考え方自体を、真っ向から否定するつもりはありません。仕事を一通り覚え、基礎を身につけるのに、ある程度の時間が必要なのは事実だからです。でも、ひとつだけはっきりさせておきたいことがあります。その3年は、仕事を覚えるための時間であって、つらい通勤に耐えるための時間ではありません。 仕事の習得と、通勤の我慢を、同じ「3年」でひとくくりにする必要はないのです。
「新卒は3年」という言葉が本当に意味しているのは、スキルや経験を積むことです。仕事の全体像をつかみ、一人で回せるようになり、社会人としての土台を作る。この成長に時間がかかるのは、たしかにその通りです。
でも、満員電車で往復2時間かけて通うことは、この成長とは何の関係もありません。通勤に耐えたからといって、仕事ができるようになるわけではないからです。同じ会社の同じ仕事を、通勤ゼロで覚えても、身につくスキルはまったく同じです。それどころか、通勤で消耗しない分、学びに使える時間と気力はむしろ増えます。「3年は我慢」という言葉を、通勤の我慢にまで拡大して適用してしまうと、成長には不要な負担を、成長のためだと思い込んで背負い続けることになります。
むしろ、若手だからこそ、通勤に時間を奪われることの損失は大きいのです。20代は、吸収力が高く、時間の使い方しだいで将来が大きく変わる時期です。この時期に何を学び、何を経験するかが、その後のキャリアの土台になります。
その貴重な時期の時間を、毎日の通勤に差し出してしまうのはもったいない。年間およそ300時間にのぼる通勤時間を、勉強やスキルアップ、あるいは十分な休息に回せたら、同じ3年でも成長の密度はまるで変わります。若いうちの時間は、人生でいちばん利回りの高い資産です。それを、成長に寄与しない通勤で目減りさせる必要はありません。
こう言うと、「でも、通勤がつらいくらいで転職したら、我慢が足りないと思われるのでは」と心配になるかもしれません。ここで区別したいのは、「嫌なことからすぐ逃げる」ことと、「自分に合う働き方を選ぶ」ことは違う、ということです。
仕事の内容や成長機会を投げ出して、楽なほうへ逃げるのは、たしかに長い目で見て損かもしれません。でも、仕事はしっかり続けたうえで、通勤という働き方の一点だけを変えるのは、逃げではありません。それは、限られた若い時間を大切に使うための、前向きな選択です。同じ努力をするなら、通勤で消耗しない環境でしたほうが、成長は早い。それだけのことです。「3年は我慢」という言葉に、通勤の我慢まで含める必要はどこにもありません。
「新卒は3年」の背景には、「石の上にも三年」ということわざの影響もあります。冷たい石の上でも三年座り続ければ温まる、つまり我慢して続ければ報われる、という意味です。この教えが間違っているわけではありません。粘り強く続けることで見えてくるものは、たしかにあります。
けれど、このことわざが本来伝えたいのは、「一つのことに腰を据えて取り組めば、力がつく」ということです。「どんな理不尽にもひたすら耐えろ」という意味ではありません。仕事にじっくり取り組むことと、つらい通勤にただ耐えることは、まったくの別物です。ことわざを、我慢そのものを目的化する方向に読み替えてしまうと、本来の教えとはずれていきます。腰を据えるべきは仕事であって、満員電車ではないのです。若手のうちにこの区別をつけておくと、我慢の矛先を間違えずに済みます。
若いうちに、通勤前提ではない働き方があると知っておくことには、大きな意味があります。「社会人とは満員電車に耐えるものだ」という思い込みが固まる前に、別の選択肢を持っておけるからです。
通勤をなくすために、成長や収入を諦める必要はありません。営業でも企画でも事務でも、通勤ゼロや週1・週2出社で働けるビジネス職の仕事は、若手を育てる体制のある会社を含めて存在します。ただし、求人票の「リモート可」を額面どおりに受け取らないこと。新卒や第二新卒の場合はとくに、実際の出社頻度に加えて、育成やフォローの仕組みがあるかも確かめたいところです。
NoTrainは、掲載する求人について、実際にどれくらい出社するのかを募集要項の原文まで確かめています。若いうちから、通勤に時間を奪われずに成長できる環境を、事実にもとづいて選べるようにするためです。
「新卒は3年」という言葉は、仕事を覚えるための3年であって、つらい通勤に耐えるための3年ではありません。通勤に耐えても仕事ができるようになるわけではなく、同じ仕事は通勤ゼロでも同じように覚えられます。若いうちの時間はいちばん価値が高いからこそ、成長に寄与しない通勤で目減りさせるのはもったいない。仕事は続けたまま、通勤という一点だけを変えるのは、逃げではなく前向きな選択です。「3年は我慢」に、通勤の我慢まで含めなくていいのです。
若いうちから、時間を大切にした働き方を選びたい人へ。NoTrainのニュースレターでは、出社頻度を事実まで確かめたビジネス職のリモート求人を、毎週お届けしています。これからのキャリアの時間を、自分のために使う一歩として、よければ登録してみてください。

通勤がつらいから転職したい。そう思っても、「そんな理由で辞めるのは甘えでは」とためらう人は少なくありません。でも、毎日の通勤は生活の質を確実に左右します。通勤を理由に働き方を変えることは、わがままでも甘えでもないという話。

昇進すれば、もっと働きやすくなる。そう信じて頑張ってきたのに、いざ役職が上がっても、朝の憂鬱な通勤は変わらないまま。むしろ責任だけが増えていく。キャリアの階段を登ることと、毎日の暮らしが楽になることは、別の話かもしれません。

満員電車も長い通勤も、まるで天気のように「どうしようもないもの」として受け入れていないでしょうか。でも通勤は、地震や台風とは違います。自分の意思で変えられる。仕方ないと諦めていた前提を、一度ほどいてみる話です。