
昇進しても、通勤の憂鬱は消えなかった。
昇進すれば、もっと働きやすくなる。そう信じて頑張ってきたのに、いざ役職が上がっても、朝の憂鬱な通勤は変わらないまま。むしろ責任だけが増えていく。キャリアの階段を登ることと、毎日の暮らしが楽になることは、別の話かもしれません。
働き方・キャリア

「通勤がつらいから、転職を考えている」。そう口にすると、あるいは心の中でそう思うと、多くの人がすぐに自分でブレーキをかけます。「そんな理由で辞めるなんて、甘えなんじゃないか」「仕事内容や人間関係ならまだしも、通勤くらいで転職なんて、まわりに理解されないのでは」。そうやって、本当は限界に近いのに、自分の気持ちに蓋をしてしまう。
でも、今日ははっきり言いたいのです。転職の理由が「通勤がつらい」でも、まったく問題ありません。 それは甘えでも、わがままでもない。毎日の通勤は、あなたの生活の質と健康を、確実に、そして毎日左右しているのだから。通勤を理由に働き方を変えることを、後ろめたく思う必要はまったくないのです。
私たちはどこかで、転職には「立派な理由」が必要だと思い込んでいます。キャリアアップ、スキルを活かせる環境、より挑戦できる仕事。そういう前向きな理由なら胸を張れるけれど、「通勤がつらい」のような生活寄りの理由は、なんとなく格が低いように感じてしまう。
でも、誰がその序列を決めたのでしょうか。転職の理由に、立派も立派でないもありません。あるのは、あなたがその働き方を続けられるかどうかだけです。毎日往復2時間の通勤に消耗し続ける生活を、この先何年も続けられないと感じているなら、それは十分すぎるほど正当な理由です。他人が納得するかどうかではなく、自分が続けられるかどうかで判断していい。それが自分の人生だからです。
「通勤くらいで」という言い方には、通勤を軽く見る前提があります。でも、実際の通勤は「くらい」で片づけられるほど小さなものではありません。
毎朝満員電車に押し込まれ、神経をすり減らし、往復で長い時間を奪われる。その消耗は、仕事を始める前からあなたの一日を削り、帰宅後の家族との時間や自分の時間まで侵食します。これが週5日、何年も続くのです。片道1時間以上通勤している人の8割超が通勤にストレスを感じているという調査もあります。多くの人が限界を感じているものを、「くらい」と呼ぶのは実態に合っていません。通勤は、生活の質を静かに、しかし確実に下げ続ける、無視できない負担なのです。
それでも「甘えかもしれない」と感じてしまうのはなぜでしょう。その気持ちの正体は、たいてい「みんな我慢しているのに、自分だけ逃げるのは」という後ろめたさです。
でも、考えてみてください。まわりが我慢していることは、あなたも我慢し続けるべき理由にはなりません。かつては長時間労働も「みんな耐えているもの」でした。それを見直すことは、甘えではなく、まっとうな判断だと今では受け止められています。通勤も同じです。つらい通勤を手放すことは、逃げではなく、自分の生活と健康を守るための前向きな選択です。我慢を続けることが立派で、環境を変えることが甘え、という価値観のほうを、そろそろ疑っていいのかもしれません。
むしろ、通勤を理由に働き方を変えることは、とても合理的です。仕事の中身は好きでも、通勤のせいで毎日消耗しているなら、変えるべきは仕事ではなく通勤のほうだからです。通勤という一点を変えるだけで、失っていた時間と気力が戻り、生活の質が大きく上がる。これほど費用対効果の高い変化は、そうありません。
そして、通勤をなくすために、仕事のやりがいや年収を諦める必要もありません。営業でも企画でも事務でも、通勤ゼロや週1・週2出社で働けるビジネス職の仕事は、実際に存在します。ただし、求人票の「リモート可」を額面どおりに受け取らないこと。実際は週の大半が出社で、また同じ通勤に戻ってしまうこともあります。せっかく通勤を理由に動くのなら、本当に通勤が減る仕事かどうかを、出社頻度の事実で確かめたいところです。
NoTrainは、掲載する求人について、実際にどれくらい出社するのかを募集要項の原文まで確かめています。「通勤がつらい」という正直な理由から働き方を変えたい人が、その一歩を事実にもとづいて選べるようにするためです。
とはいえ、面接でそのまま「通勤がつらくて」と言うと、後ろ向きな印象を与えないか気になるかもしれません。ここは少し工夫の余地があります。ポイントは、本音を隠すことではなく、同じ気持ちを前向きな言葉に翻訳することです。
たとえば「通勤に消耗するのを避けたい」ではなく、「通勤に使っていた時間と気力を、仕事の成果や自己研鑽に振り向けたい」と言い換える。事実は同じでも、受け取られ方はまるで違います。通勤をなくしたいという動機の奥には、たいてい「もっと集中して働きたい」「生活を整えて長く力を発揮したい」という前向きな願いがあるはずです。その願いのほうを言葉にすれば、通勤を理由にした転職も、きちんと筋の通った志望動機になります。嘘をつくのではなく、自分の本当の気持ちの、いちばん前向きな側面を選んで伝える。それだけで十分です。
転職の理由が「通勤がつらい」でも、いいのです。転職の理由に立派も立派でないもなく、あるのはその働き方を続けられるかどうかだけ。毎日の通勤は「くらい」で片づけられない負担で、生活の質を確実に左右しています。まわりが我慢していることは、あなたが我慢し続ける理由にはなりません。通勤を理由に動くことは、甘えではなく、自分の生活を守るための合理的で前向きな判断です。
つらい通勤から、後ろめたさなく抜け出したい人へ。NoTrainのニュースレターでは、出社頻度を事実まで確かめたビジネス職のリモート求人を、毎週お届けしています。自分の正直な気持ちを、次の一歩につなげる材料にしてください。

昇進すれば、もっと働きやすくなる。そう信じて頑張ってきたのに、いざ役職が上がっても、朝の憂鬱な通勤は変わらないまま。むしろ責任だけが増えていく。キャリアの階段を登ることと、毎日の暮らしが楽になることは、別の話かもしれません。

満員電車も長い通勤も、まるで天気のように「どうしようもないもの」として受け入れていないでしょうか。でも通勤は、地震や台風とは違います。自分の意思で変えられる。仕方ないと諦めていた前提を、一度ほどいてみる話です。

金曜の夜、心から解放された気持ちになる。その幸福感を疑う人は少ないと思います。けれど、解放感が大きいほど、平日がそれだけ苦しいということ。振れ幅の大きさは、我慢の大きさかもしれません。週末の高揚を、少し違う角度から見てみます。