
働き方・キャリア
毎朝、乗り換えの階段を全力で駆け上がっている。

乗り換え駅で電車のドアが開くと同時に、人の波に乗って階段へ向かう。次の電車まであと数分。間に合わせるために、階段を一段飛ばしで駆け上がる。息が切れ、少し汗ばみ、なんとかホームに滑り込んで、来た電車に飛び乗る。ふう、と息をつく。まだ、家を出てから30分ほど。会社にはまだ着いていません。
この「乗り換えダッシュ」を、毎朝繰り返している人は多いと思います。誰に頼まれたわけでもなく、遅刻しないために、自分の意志で全力疾走している。でも、よく考えてみてください。まだ仕事も始まっていない朝から、なぜ私たちは、こんなに必死に走らなければならないのでしょうか。今日は、この毎朝の全力疾走について考えてみたいと思います。
会社に着く前に、もう疲れている
乗り換えの階段を駆け上がると、当然、体力を使います。息は上がり、心拍数も上がり、汗もかく。それを、一日の始まりの、まだ何もしていない時間にやっている。つまり、私たちは仕事を始める前に、すでに一度、体力を消耗しているのです。
考えてみれば、これは効率の悪い話です。本来なら、一日でいちばん元気なはずの朝の体力を、移動のための全力疾走に使ってしまっている。会社の席に着いた時点で、すでに軽く運動を終えたような疲労を抱えている。その状態で、一日の仕事が始まります。午前中、なんとなく本調子が出ない。その一因が、この朝のダッシュにあるとしたら、もったいない話です。走って稼いだ数分のために、その後の何時間かのパフォーマンスを、少しずつ削っているのかもしれません。
その数分のために、走っている
乗り換えダッシュで稼いでいるのは、せいぜい数分です。その一本に乗れなければ、次の電車を待つことになる。だから、みんな必死に走る。でも、その数分のために全力疾走している自分を、少し引いて眺めてみると、不思議な光景です。
行きたくてたまらない場所へ走るのなら、分かります。でも、走った先にあるのは、通勤の続きです。次の満員電車であり、その先の職場です。心から急ぎたい目的地でもないのに、遅刻という結果を避けるためだけに、毎朝、全力で走らされている。しかも、その数分の余裕は、走らなければ生まれないぎりぎりの設計になっている。つまり、走ることが前提のスケジュールで、毎日を回している。この「走らないと間に合わない」という状態そのものが、通勤という仕組みの余白のなさを表しています。
全力疾走を、この先何年続けるのか
もう一つ、立ち止まって考えたいことがあります。この乗り換えダッシュを、あなたはこの先、何年続けるつもりでしょうか。
若いうちは、階段を駆け上がるのも苦になりません。でも、年齢を重ねると、同じダッシュがだんだんこたえるようになります。膝が痛む、息が上がりやすくなる、朝の疲れが抜けにくくなる。今は平気でこなしている全力疾走も、10年後、20年後の自分には、決して軽くない負担になっているかもしれません。それでも、通勤という前提が変わらなければ、走り続けるしかない。毎朝の数分のために、体を酷使し続ける。その積み重ねを、定年まで続ける前提でいいのか。一度、その長さを想像してみる価値があります。
通勤がなければ、走る必要そのものがない
通勤がなくなると、この全力疾走は、そもそも必要がなくなります。乗り換えもなければ、間に合わせるべき電車もない。走る理由が、まるごと消えます。
家で仕事を始める朝は、階段を駆け上がることも、汗をかくことも、息を切らすこともありません。朝の体力を、移動のためではなく、自分のためや仕事のために使えるようになります。一日でいちばん元気な時間を、消耗せずに迎えられる。もし体を動かしたいなら、それは自分の選んだ運動として、気持ちよくやればいい。遅刻を避けるための、望まない全力疾走とはまるで別物です。走らなくていい朝は、思っている以上に、一日を穏やかに始めさせてくれます。
走らされる毎日から、降りるために
毎朝の乗り換えダッシュを、当たり前のことだと思って続けてきたかもしれません。でも、まだ仕事も始まっていない朝から全力で走らされているというのは、冷静に見れば、けっこう理不尽なことです。
その全力疾走から降りるために、キャリアや収入を手放す必要はありません。多くのビジネス職で、通勤ゼロや出社を大きく減らして働ける仕事は、実際に見つかります。気をつけたいのは、募集要項の「リモート可」という言葉が、必ずしも通勤のない毎日を意味しないことです。実際は週の大半が出社で、また毎朝の階段ダッシュに戻ってしまうこともあります。本当に走らなくていい毎日になるかは、出社頻度の事実で確かめる必要があります。
NoTrainは、掲載する求人が実際にどれくらい出社するのかを、募集要項の原文まで一件ずつ確かめています。毎朝の全力疾走から降りたい人が、事実にもとづいて働き方を選べるようにするためです。
まとめ
乗り換えの階段を全力で駆け上がる毎朝。そのダッシュで稼いでいるのはせいぜい数分で、走った先にあるのは通勤の続きです。会社に着く前に体力を消耗し、一日でいちばん元気なはずの朝を、移動のための全力疾走に使ってしまっている。しかも、その全力疾走を、年齢を重ねても続ける前提でいいのか。通勤がなくなれば、走る必要そのものが消え、朝の体力を自分のために使えるようになります。走らされる毎日を当たり前とする前に、そこから降りられないか、一度考えてみてください。
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