
働き方・キャリア
「通勤つらいね」と言い合って、それで終わっていないか。

昼休みや飲みの席で、同僚とつい口にする話題があります。「通勤、ほんとつらいよね」「満員電車、まじできつい」。お互いにうなずき合い、あるあるを言い合って、少し盛り上がる。愚痴を吐き出すと、なんとなく気持ちがすっきりします。共感してもらえると、自分だけじゃないんだと安心もできる。
でも、ふと考えてみてほしいのです。その愚痴を言い合ったあと、あなたは何か行動を変えたでしょうか。おそらく、翌朝もまた、同じ時間に同じ満員電車に乗っている。愚痴は、つらさを和らげてくれる一方で、そのつらさを「変えなくていいもの」にしてしまう面があります。今日は、この「通勤の愚痴」について考えてみたいと思います。
愚痴は、ガス抜きになってしまう
愚痴を言うこと自体は、悪いことではありません。つらい気持ちを言葉にして、誰かに聞いてもらう。それで少し楽になるのは、健全なことでもあります。問題は、その「少し楽になる」が、行動を止めてしまうことがある点です。
本来、つらさは、それを変えるための原動力になります。「この状況はいやだ」という感情が強いからこそ、人はなんとかしようと動きます。でも、愚痴を言って発散してしまうと、そのつらさのエネルギーが、そこで抜けてしまう。愚痴によって気持ちが軽くなると、「変えなければ」という切実さまで一緒に薄れてしまうのです。ガス抜きをして、また明日から耐えられるようになる。耐えられるようになるということは、裏を返せば、変える必要を感じなくなるということでもあります。愚痴は、現状に耐えるための道具として、とてもよくできています。
「みんなつらい」が、あきらめの理由になる
もう一つ、通勤の愚痴には独特の落とし穴があります。それは、共感が「あきらめ」に変わりやすいことです。
同僚と愚痴を言い合うと、「みんな同じようにつらいんだ」と分かります。それは慰めになる一方で、「みんなが我慢しているのだから、自分も我慢するのが当たり前」という空気を作ります。つらいのが自分だけでないと知ることが、変えようとしないことの言い訳になってしまうのです。全員が同じ電車に乗って、同じように疲れて、同じように愚痴を言っている。その輪の中にいると、そこから抜け出すという発想そのものが浮かびにくくなります。抜け出そうとすることが、なんだか輪を乱す裏切りのようにすら感じられる。こうして、共感の輪が、静かに現状維持を支えてしまいます。
愚痴で終わる人と、動く人の違い
同じように通勤をつらいと感じていても、そこから動く人と、愚痴で終わる人がいます。その違いは、能力や根性ではありません。つらさを「発散して終わらせる」か、「変えるきっかけにする」かの違いです。
動く人は、愚痴を言ったあとに、ふと立ち止まります。「そもそも、この通勤って、なくせないんだろうか」と。そして、少しだけ調べてみる。リモートで働ける仕事を探してみる。求人を眺めてみる。愚痴で終わる人と動く人の分かれ目は、つらさを感じた次の一歩を踏み出すかどうかだけです。大げさな決断は要りません。まず「変えられるかもしれない」と考えてみる。その小さな一歩を踏み出せるかどうかで、一年後の毎朝が変わってきます。愚痴の輪の中にとどまるか、そこから静かに一歩出るか。それは、いつでも自分で選べることです。
踏み出す一歩は、小さくていい
「動く」といっても、いきなり会社を辞めたり、転職を決めたりする必要はありません。むしろ、そんな大きな決断をいきなり迫るから、人は動けなくなり、また愚痴に戻ってしまいます。
必要なのは、もっと小さな一歩です。たとえば、通勤ゼロや出社の少ない求人が、自分の職種に本当にあるのか、5分だけ調べてみる。気になる求人をひとつ、ブックマークしてみる。それだけで十分です。大切なのは、決めることではなく、「変えられるかもしれない」という可能性を、自分の中に一度置いてみることです。可能性を知ってしまえば、次に愚痴を言いたくなったとき、「そういえば、こういう働き方もあったな」と思い出せます。その小さな引っかかりが、いつか本当に動くときの、最初の足がかりになります。愚痴で発散して忘れてしまう前に、ほんの少しだけ、外の選択肢をのぞいてみる。それが、輪の中から一歩出るということです。
つらさを、変えるエネルギーに使う
もし、通勤の愚痴を何度も言っているなら、それはあなたの中に「変えたい」というエネルギーがある証拠です。そのエネルギーを、発散して消してしまうのは、もったいないことです。同じエネルギーを、現状を変えるほうに向けることができます。
通勤をなくすために、キャリアや収入を諦める必要はありません。多くのビジネス職で、通勤ゼロや出社を大きく減らして働ける仕事は、実際に見つかります。気をつけたいのは、募集要項の「リモート可」という言葉が、必ずしも通勤のない毎日を意味しないことです。実際は週の大半が出社で、また愚痴を言い合う日々に戻ってしまうこともあります。本当に通勤をなくせるかどうかは、出社頻度の事実で確かめる必要があります。
NoTrainは、掲載する求人が実際にどれくらい出社するのかを、募集要項の原文まで一件ずつ確かめています。愚痴で終わらせず一歩を踏み出したい人が、事実にもとづいて働き方を選べるようにするためです。
まとめ
同僚と「通勤つらいね」と言い合うと、少しすっきりして、また明日から耐えられるようになります。でも、その発散が、つらさを変えるエネルギーまで抜いてしまうことがあります。「みんなつらい」という共感は、慰めになる一方で、あきらめの理由にもなりがちです。愚痴で終わる人と動く人の違いは、つらさを感じた次の一歩を踏み出すかどうかだけ。もし通勤の愚痴を繰り返しているなら、その気持ちを、発散ではなく変えるほうに使ってみてください。愚痴の輪から、静かに一歩、外に出てみる価値はあります。
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