
働き方・キャリア
座るためだけに、一本早い電車に乗っている。

座って通勤したいから、いつもより30分早く起きて、一本早い電車に乗る。あるいは、始発から乗るために、少し遠い駅まで歩く。混雑を避けるために、時差通勤の時間を細かく調整する。つらい満員電車を少しでもマシにするために、多くの人がこうした涙ぐましい工夫を重ねています。あなたにも、心当たりがあるかもしれません。
こうした工夫は、たしかに効果があります。座れれば通勤は楽になるし、混雑を避ければストレスも減る。その努力を否定するつもりはありません。でも、少しだけ立ち止まって考えてほしいのです。その工夫に払っている労力や早起きは、そもそも何のためのものでしょうか。 つらい通勤を、少しだけつらくなくするため。つまり、根本的にはつらいという前提のうえで、その被害をやわらげるために、私たちは貴重な時間と気力を使っているのです。
「マシにする工夫」は、つらさが前提になっている
座るために早起きする。この工夫が成り立つのは、「通勤はつらいもの」という前提があるからです。もし通勤が快適なものなら、座席を確保するために早起きしたり、始発駅まで歩いたりする必要はありません。私たちがこうした工夫をしているという事実そのものが、通勤がそれだけつらいものだと認めていることの裏返しです。
対症療法という言葉があります。病気の原因ではなく、症状をやわらげる治療のことです。座席の確保も、時差通勤も、いわば通勤の対症療法です。痛みそのものを取り除くのではなく、痛みを少し弱めているだけ。症状を抑える工夫にどれだけ習熟しても、つらさの原因そのものはなくならないのです。座れた日でも、満員電車に乗っていることに変わりはなく、往復の時間が奪われることにも変わりはありません。
その早起きは、あなたの睡眠を削っている
見落としがちなのは、この工夫にはコストがかかっているということです。座るために一本早い電車に乗るなら、その分だけ早く起きなければなりません。つまり、座って通勤する快適さを、睡眠時間と引き換えに買っているのです。
考えてみれば、これは奇妙な取引です。通勤で消耗しないために座りたいのに、そのために睡眠を削って、別のかたちで消耗している。始発駅まで歩くのも、余計な時間と体力を使っています。つらい通勤をマシにするための工夫が、実は別のところであなたをすり減らしている。対症療法には、こういう見えにくい代償がつきものです。症状をやわらげるために、どこかで無理をしている。その無理が積み重なると、結局は疲れが抜けないままになります。
労力を、「マシにする」ではなく「なくす」ほうに向ける
ここで、発想を切り替えてみてほしいのです。座るための早起き、始発までの徒歩、時差通勤の調整。これらに使っている工夫の労力を、通勤を「マシにする」ことではなく、通勤を「なくす」ことに向けたら、どうなるでしょうか。
通勤そのものがなくなれば、座席を確保する必要も、早起きする必要も、混雑を避ける必要も、すべて一度に消えます。対症療法を積み重ねる労力が、まるごと不要になる。症状を一つずつやわらげるより、原因を断つほうが、結局はずっと効率がいいのです。毎朝の小さな工夫に注いできた頭と時間を、根本の解決に一度だけ使う。そのほうが、長い目で見れば圧倒的に報われます。つらい通勤に耐えるための工夫を極めるより、耐えなくていい状況を選ぶ。この切り替えが、実は一番の近道かもしれません。
工夫が上手な人ほど、根本解決に向いている
ここで一つ、前向きなことをお伝えします。座るために毎朝の段取りを組み、混雑の少ない経路を研究し、時差通勤を細かく調整する。こうした工夫ができる人は、実はとても能力の高い人です。制約のなかで最善を探し、地道に実行し続ける力があるということだからです。
だからこそ、もったいないとも言えます。その優れた工夫の力を、つらい通勤に耐えるためだけに使っているのは、宝の持ち腐れかもしれません。同じ「問題を解決する力」を、通勤を減らす働き方を探すことに向ければ、きっとうまくやれます。求人の実態を見比べ、条件を整理し、自分に合う環境を選び取る。それは、座席を確保する工夫より少し大きな挑戦ですが、成功すれば毎朝の工夫そのものが一生分いらなくなります。小さな工夫を続けられる人は、大きな選び直しもできる人です。その力の使いどころを、一度見直してみる価値があります。
工夫を卒業して、通勤そのものを手放す
通勤をなくすために、キャリアや収入を諦める必要はありません。営業でも企画でも事務でも、通勤ゼロや週1・週2出社で働けるビジネス職の仕事は、実際に存在します。ただし、求人票の「リモート可」を額面どおりに受け取らないこと。実際は週の大半が出社で、また座席のための早起きに戻ってしまうこともあります。本当に通勤の工夫そのものが不要になる働き方かは、出社頻度の事実で確かめる必要があります。
NoTrainは、掲載する求人について、実際にどれくらい出社するのかを募集要項の原文まで確かめています。通勤をマシにする工夫から卒業したい人が、そもそも通勤のない働き方を、事実にもとづいて選べるようにするためです。
まとめ
座るための早起き、始発駅までの徒歩、時差通勤の調整。私たちは、つらい通勤を少しでもマシにするために、たくさんの工夫を重ねています。でもその工夫は、通勤がつらいという前提のうえに成り立つ対症療法で、しかも睡眠や時間という別のコストを払っています。症状をやわらげる努力をどれだけ極めても、原因そのものはなくなりません。その工夫の労力を、通勤を「なくす」ほうに一度向けてみてください。対症療法を卒業して原因を断つことが、実はいちばん楽で、いちばん効く選択です。
毎朝の小さな工夫から解放されたい人へ。NoTrainのニュースレターでは、出社頻度を事実まで確かめたビジネス職のリモート求人を、毎週お届けしています。通勤をマシにするのではなく、なくす一歩として、よければ登録してみてください。
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