
働き方・キャリア
電車が一本遅れただけで、一日が崩れる。

いつもの時間に駅に着いたら、ホームに人があふれている。電光掲示板には「遅延」の二文字。人身事故、信号トラブル、車両点検。理由はいろいろですが、起きることは同じです。電車がいつもどおりに動かないだけで、その日の朝は、一気に崩れていきます。
焦りながら次の電車を待ち、来たと思えば普段以上の満員。乗り換えは間に合わず、会議に遅れる連絡を入れ、着く頃にはもうぐったり。自分は何も悪いことをしていないのに、一日の出だしが台無しになる。今日は、この「電車が遅れるだけで一日が崩れる」という、通勤ならではの脆さについて考えてみたいと思います。
自分の努力ではどうにもならない
電車の遅延がやっかいなのは、それが完全に自分のコントロールの外にあることです。どれだけ早く家を出ても、どれだけ準備を整えても、電車が止まればどうにもなりません。自分の落ち度ではないのに、その影響だけは自分がまるごと受けることになります。
これは、地味に大きなストレスです。人は、自分の努力でどうにかできることには前向きに取り組めますが、努力ではどうにもならないことに振り回されるのは、強い無力感を伴います。遅刻しないために自分ができることを全部やっても、最後は電車次第。その理不尽さが、遅延の朝の憂鬱を深くします。しかも遅延は、いつ起きるか分かりません。明日は大丈夫か、という小さな不安が、通勤する人の心の片隅に、いつも居座っています。
「崩れる」のは、余白がないから
一本の遅れで一日が崩れてしまうのは、そもそも通勤のスケジュールに余白がないからでもあります。始業時刻から逆算して、ぎりぎり間に合う電車に乗っている人は少なくありません。その前提が、少しの遅れも許さない張りつめた朝を作っています。
余白のない計画は、一つの狂いが全体に波及します。電車が10分遅れれば、乗り換えを逃し、その先も連鎖的にずれていく。ドミノが倒れるように、予定が崩れていきます。通勤という仕組みそのものが、遅延に弱い、余白のない構造なのです。そして、その余白のなさを補うために、多くの人がさらに早い電車に乗ろうとします。つまり、遅延に備えるために、貴重な睡眠や朝の時間を前もって差し出している。遅延は、実際に起きた日だけでなく、備える日々のコストとしても、静かに時間を奪っています。
気分まで、電車に左右されている
遅延がもたらすのは、時間のロスだけではありません。その日の気分まで、電車の運行状況に左右されてしまいます。スムーズに座れた日はなんとなく機嫌がよく、遅延と満員に揉まれた日は、会社に着く前から気持ちがささくれ立っている。
考えてみれば、これは奇妙なことです。自分の一日の始まりの機嫌を、鉄道のダイヤという、自分とは無関係なものに決められている。その日を気持ちよく始められるかどうかを、電車が動くかどうかに委ねているのです。仕事の内容でも、人間関係でもなく、ただ電車が時間どおりに来たかどうかで、朝の心持ちが変わる。生活の主導権の一部を、無意識のうちに鉄道会社に預けてしまっている。遅延のたびに感じるあの苛立ちは、その預けたものが返ってこないことへの、静かな抗議なのかもしれません。
通勤がなければ、遅延はただのニュースになる
もし通勤がなかったら、電車の遅延はどうなるでしょうか。答えはシンプルで、自分には関係のない、ただのニュースになります。
家で仕事をしているなら、どの路線が遅れていようと、運転を見合わせていようと、自分の一日には何の影響もありません。朝の余裕も、予定も、気分も、鉄道のダイヤから完全に切り離されるのです。遅延に備えて早起きする必要も、遅れる連絡を入れる気まずさも、満員に揉まれる消耗もない。一日の始まりを、自分のペースで、自分の裁量で始められる。電車が動くかどうかに、生活を人質に取られなくなる。これは、思っている以上に心を軽くします。天気予報を気にするように遅延情報を気にしていた毎日から、そもそも解放されるのです。
生活の主導権を、取り戻す
電車の遅延に一日を崩される脆さを、当たり前として受け入れてきたかもしれません。でも、自分の努力ではどうにもならないものに、毎日の始まりを預け続けるのは、けっこう不安定な生き方です。
その脆さから抜け出すために、キャリアや収入を手放す必要はありません。多くのビジネス職で、通勤ゼロや出社を大きく減らして働ける仕事は、実際に見つかります。気をつけたいのは、募集要項の「リモート可」という言葉が、必ずしも通勤のない毎日を意味しないことです。実際は週の大半が出社で、また遅延に一喜一憂する朝に戻ってしまうこともあります。本当にダイヤから解放されるかどうかは、出社頻度の事実で確かめる必要があります。
NoTrainは、掲載する求人が実際にどれくらい出社するのかを、募集要項の原文まで一件ずつ確かめています。電車の遅延に生活を左右されたくない人が、事実にもとづいて働き方を選べるようにするためです。
まとめ
電車が一本遅れただけで一日が崩れるのは、それが自分の努力ではどうにもならず、しかも通勤のスケジュールに余白がないからです。遅延は、実際に起きた日の時間だけでなく、備えるための早起きとしても、日々静かに時間を奪います。そのうえ、朝の気分まで鉄道のダイヤに左右されている。通勤がなくなれば、遅延はただのニュースになり、朝の余裕も予定も気分も、ダイヤから切り離されます。自分の一日の始まりを、電車に人質に取られ続ける前に、その主導権を取り戻せないか、一度考えてみてください。
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