
働き方・キャリア
帰宅して「ただいま」を言う相手は、もう眠っている。

残業を終えて、満員電車に揺られて、ようやく家にたどり着く。玄関のドアを開けて「ただいま」と言おうとして、ふと気づく。家の中はもう静かで、家族はみんな眠っている。返事をしてくれる相手が、起きていない。子どもの部屋をそっと覗くと、寝顔だけがそこにある。今日も、起きているあの子には会えなかったな、と思いながらドアを閉める。
こんな夜を、あなたも重ねていないでしょうか。平日は、子どもの寝顔しか見ていない。パートナーとも、まともに話す時間がない。決してさぼっているわけでも、帰りが特別に遅いわけでもない。ただ、仕事の時間に通勤の時間が乗ると、家に帰り着くころには、もう家族の一日が終わっているのです。今日は、この「夜の時間」について考えてみたいと思います。
「ただいま」に返事がない、という寂しさ
「ただいま」という言葉は、本来、誰かに向けて言うものです。おかえり、と返してくれる相手がいてはじめて、その言葉は完成します。でも、その相手が眠っていると、「ただいま」は誰にも届かず、静かな部屋に吸い込まれていきます。
これは、思っている以上に寂しいことです。一日じゅう働いて、疲れて帰ってきて、家族の顔を見てほっとしたい。その当たり前の願いが、平日は叶わない。家族と暮らしているのに、平日はまるで一人暮らしのように、静かな家に帰ってくる。子どもがどんな一日を過ごしたのか、パートナーに何があったのか、リアルタイムでは何も分かち合えません。分かるのは、翌朝の慌ただしい数分か、寝顔だけ。一緒に住んでいるはずなのに、生活の時間がすれ違っている。この小さな寂しさが、毎晩少しずつ積み重なっていきます。
その時間を奪っているのは、本当に仕事だけか
夜、家族に会えないのは仕方がない。仕事が忙しいのだから。そう思っている人は多いと思います。でも、少し立ち止まって考えてみてください。あなたが家族に会えない時間の中に、どれくらい「通勤」が含まれているでしょうか。
たとえば片道1時間の通勤なら、往復で2時間です。もし通勤がなければ、その2時間ぶん早く、家族と過ごせる時間に間に合っていたかもしれません。定時で仕事を終えても、そこから1時間かけて帰るあいだに、子どもはお風呂に入り、歯を磨き、布団に入ってしまう。あと少し早ければ会えたのに、その「あと少し」を、通勤がまるごと食べていることがあります。仕事の時間は、簡単には削れません。でも、通勤の時間は、働き方を変えれば手放せる余地があります。夜の時間を奪っている犯人は、仕事そのものだけではなく、その前後にくっついた通勤かもしれないのです。
子どもの「今日」は、もう二度と来ない
とりわけ子育て中の人にとって、この夜の時間は、取り返しのつかない重さを持っています。なぜなら、子どもの一日は、その日かぎりのものだからです。
今日あった小さな出来事を、寝る前に話したかった。転んで泣いたこと、はじめてできたこと、園であった楽しかったこと。それを聞けるのは、その日の夜だけです。翌朝には、子どもはもう忘れているかもしれない。子どもが起きている時間に家にいられない日々は、戻ってこない「今日」を、一日ずつ見送っているということでもあります。子どもが小さい時期は、驚くほど短い。その貴重な時期の平日の夜を、毎日通勤に明け渡してしまうのは、あとから思えばとても惜しいことかもしれません。仕事はこの先も続きますが、子どもが「おかえり」と言って駆け寄ってくる時期は、長くは続かないのです。
夜を取り戻すことは、逃げではない
家族と過ごす夜の時間がほしい。そう願うことを、どこかで甘えや逃げのように感じてしまう人がいます。でも、それは違います。働いて、生活を支えて、そのうえで家族との時間も大切にしたいと願うのは、ごく健やかな望みです。
夜の時間を取り戻すために、キャリアや収入を手放す必要はありません。多くのビジネス職で、通勤ゼロや出社を大きく減らして働ける仕事は、実際に見つかります。通勤がなくなれば、仕事を終えたその瞬間に、もう家にいます。「ただいま」に、返事が返ってくる。気をつけたいのは、募集要項の「リモート可」という言葉が、必ずしも通勤のない毎日を意味しないことです。実際は週の大半が出社で、また寝顔だけの平日に戻ってしまうこともあります。本当に夜の時間を取り戻せるかどうかは、出社頻度の事実で確かめる必要があります。
NoTrainは、掲載する求人が実際にどれくらい出社するのかを、募集要項の原文まで一件ずつ確かめています。「ただいま」に返事が返ってくる暮らしを取り戻したい人が、事実にもとづいて働き方を選べるようにするためです。
まとめ
残業と通勤を終えて帰宅すると、家族はもう眠っている。「ただいま」に返事がなく、子どもの寝顔しか見られない平日。その寂しさは、毎晩少しずつ積み重なっていきます。でも、その夜の時間を奪っているのは、仕事そのものだけではなく、前後にくっついた通勤かもしれません。とりわけ子どもの「今日」は、その日かぎりのもの。通勤をなくせば、仕事を終えたその瞬間に、もう家にいます。夜の時間を取り戻したいと願うのは、甘えでも逃げでもありません。寝顔だけの平日を続ける前に、一度その時間の使い方を見直してみてください。
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