
働き方・キャリア
気づけば、季節を「窓の外」でしか感じていない。

桜が咲いていたことに、散ってから気づく。金木犀の香りが街に満ちていたはずなのに、今年もかがないまま秋が過ぎていく。夏の夕立の匂いも、冬のはじめの澄んだ空気も、なんとなく記憶が薄い。気づけば、季節というものを、電車やオフィスの窓の外を流れる景色としてしか、感じていない。そんなことは、ないでしょうか。
朝は暗いうちに家を出て、夜になってから帰る。日中はずっと室内にいる。この生活を続けていると、季節は自分の暮らしの中ではなく、移動中の窓の向こうを、ただ流れていくものになります。今日は、通勤が奪っているもののうち、あまり語られない「季節を感じる余白」について考えてみたいと思います。
季節は、暮らしの中で感じるもの
季節を感じるというのは、本来、日々の暮らしの中に溶け込んでいるものです。朝の空気の冷たさ、昼下がりの日差しの角度、夕方の匂い、風の質感。それらは、外に出て、立ち止まって、はじめて肌に届きます。
でも、通勤中心の生活では、その一つひとつを味わう余白がありません。朝は電車に間に合わせることで頭がいっぱいで、空を見上げる余裕もない。日中はオフィスの中で、外の光がどう変わったかも分からない。季節を感じるための「立ち止まる時間」を、私たちは通勤と仕事に明け渡しているのです。走る電車の窓から見える桜並木も、駅からオフィスまでの数分に見上げる空も、通り過ぎるだけで、心にとどまりません。季節は、たしかにそこにあるのに、味わう間もなく後ろへ流れていきます。
「窓の外」に追いやられた季節
季節を窓の外でしか感じていない、というのは、少し寂しい状態です。窓の外というのは、自分がその中にいない、ということだからです。
電車の窓から見る紅葉は、きれいではあっても、その中を歩いてはいません。オフィスの窓から見る夕焼けは、眺めるだけで、その空気を吸ってはいません。季節が、体験するものではなく、観賞するものになってしまっている。ガラス一枚を隔てて、自分の暮らしと季節が切り離されている感覚です。子どものころは、あんなに季節と地続きだった気がします。落ち葉を踏み、夕立に濡れ、雪にはしゃいだ。それがいつのまにか、季節はスケジュールの隙間から眺める、遠い風景になってしまいました。その距離を作っているものの一つが、朝晩を通勤で塗りつぶす毎日なのかもしれません。
通勤が、季節から自分を遠ざけている
なぜ、こんなふうに季節が遠くなったのでしょうか。理由の一つは、はっきりしています。一日のうち、外にいて、心に余裕のある時間が、ほとんど残っていないからです。
朝の通勤は、余裕のない時間帯です。夜の帰宅も、疲れていて、季節を味わうどころではありません。日中は室内です。外の空気に触れられる数少ない時間が、どちらも「急いでいる」か「疲れている」で埋まっている。これでは、季節を感じる余白など生まれようがありません。通勤は、時間や体力を奪うだけでなく、季節や自然と向き合うための、心のゆとりまで奪っています。数字には表れないけれど、暮らしの豊かさに関わる、大切なものです。
家で働くと、季節が暮らしに戻ってくる
在宅で働くようになると、季節との距離が、少し変わります。通勤に使っていた時間と気力が戻ってくると、季節を感じる余白が、暮らしの中に生まれるからです。
朝、仕事を始める前に、窓を開けて空気を入れる。その一瞬で、今日の気温や湿り気が分かります。昼休みに少し外を歩けば、季節の匂いや光の変化に気づけます。夕方、仕事を終えてすぐに、まだ明るい外へ出られる日もあります。季節が、窓の外の風景から、自分がその中にいる体験へと戻ってくるのです。桜が咲きはじめたことに、散る前に気づける。金木犀の香りに、その季節のうちに立ち止まれる。特別なことをするわけではありません。ただ、季節を感じる余白が、暮らしに少し戻ってくる。それだけで、一年の感じ方は、思っているよりずっと豊かになります。
季節を感じる余白を、取り戻す
季節を窓の外に追いやったまま、一年また一年と過ぎていくのは、少しもったいないことです。過ぎた季節は、戻ってきません。今年の桜も、今年の金木犀も、一度きりです。
季節を感じる暮らしを取り戻すために、キャリアや収入を手放す必要はありません。多くのビジネス職で、通勤ゼロや出社を大きく減らして働ける仕事は、実際に見つかります。気をつけたいのは、募集要項の「リモート可」という言葉が、必ずしも通勤のない毎日を意味しないことです。実際は週の大半が出社で、また季節を窓の外に眺める生活に戻ってしまうこともあります。本当に暮らしの余白を取り戻せるかどうかは、出社頻度の事実で確かめる必要があります。
NoTrainは、掲載する求人が実際にどれくらい出社するのかを、募集要項の原文まで一件ずつ確かめています。窓の外に追いやっていた季節を、暮らしの中に取り戻したい人が、事実にもとづいて働き方を選べるようにするためです。
まとめ
気づけば、季節を電車やオフィスの窓の外を流れる景色としてしか感じていない。桜が散ってから気づき、金木犀をかがないまま秋が終わる。それは、外にいて心に余裕のある時間が、通勤と仕事にほとんど奪われているからです。季節は本来、暮らしの中で肌に届くもののはず。家で働けば、通勤に明け渡していた余白が戻り、季節は窓の外の風景から、自分がその中にいる体験へと戻ってきます。過ぎた季節は二度と戻りません。窓の外に追いやったままにする前に、その余白の使い方を一度見直してみてください。
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