
働き方・キャリア
通勤中、ずっと「早く着かないか」とだけ考えている。

満員電車に押し込まれて、揺られながら、頭の中でひたすら思っていること。それは、たぶん「早く着かないか」ということだけです。あと何駅か、あと何分か。ただそれだけを数えながら、時間が過ぎるのを待っている。この感覚に、心当たりのある人は多いと思います。
でも、あるとき、ふと気づいたのです。「早く着かないか」と願うということは、いま過ぎているこの時間に、一秒でも早く終わってほしいと願っているということです。つまり、自分の人生の一部を、早く消えてなくなってほしいと思っている。今日は、この「消したい時間」について考えてみたいと思います。
「早く終わってほしい」と願う時間の正体
私たちが「早く着かないか」と思うとき、その裏にあるのは、いまこの瞬間を楽しんでいない、という事実です。楽しい時間や充実した時間に対して、人は「早く終わってほしい」とは思いません。むしろ、もっと続いてほしいと願います。「早く終わってほしい」と思うのは、その時間が、耐えるべき苦痛でしかないからです。
通勤時間は、まさにその「早く終わってほしい時間」の代表です。一日のうちの決して短くない時間を、私たちは『早く過ぎ去ってほしい』と願いながら過ごしているのです。これは、よく考えると、かなり重いことです。人生は時間の積み重ねでできています。その時間の一部を、毎日、消えてほしいと願っている。往復2時間なら、一日の2時間を、なかったことにしたいと思いながら生きている。その願いが叶うことは、決してありません。時間は、どれだけ願っても、飛ばすことはできないからです。
時間を「飛ばしたい」と思わされる働き方
もっと踏み込むと、これは自分の意志で望んでいることではありません。誰も、好きこのんで自分の人生の時間を消したいと思うはずがありません。にもかかわらず「早く着かないか」と願ってしまうのは、そう願わざるを得ない状況に置かれているからです。
満員電車が快適なら、こんなことは思いません。通勤が心地よい時間なら、むしろゆっくり味わいたいと思うでしょう。『早く終わってほしい』と願わされている時点で、その時間は、自分にとって耐えるだけの時間になっているのです。そして、それを毎日繰り返している。人生の貴重な時間を、耐えるだけの時間として差し出し、その上で「早く過ぎてくれ」と祈る。この構図は、冷静に見ると、かなり不自然です。私たちは、生きている時間を、飛ばしたいと思わされている。その働き方のあり方を、一度立ち止まって見つめてもいいのではないでしょうか。
「耐える時間」を、人生から差し引く
一日のうち、耐えるだけの時間がどれくらいあるか、考えてみてください。通勤の往復。もし、その時間を「早く過ぎてほしい」と思いながら過ごしているなら、それは実質的に、生きていないのと近い時間かもしれません。意識を半分閉じて、ただ通り過ぎるのを待っている時間だからです。
人生の長さは、生きた年数だけでは測れません。どれだけの時間を、意識をもって、味わって生きたか。その積み重ねが、実感としての人生の豊かさを決めます。『早く終わってほしい』と願って通り過ぎる時間は、人生の総量から静かに差し引かれているのかもしれません。毎日2時間、それを何年も続ければ、差し引かれる時間は膨大です。しかも、その時間は二度と戻りません。消したいと願った時間は、願いどおりに、記憶にも残らず消えていきます。ただし、人生の長さごと削られながら。
通勤がなくなると、その時間が「生き返る」
通勤がなくなると、この「消したい時間」そのものが消えます。より正確に言えば、消したいと願っていた時間が、使える時間として生き返ります。
朝、家で仕事を始めるまでの時間を、「早く過ぎてほしい」と思う必要はありません。コーヒーを淹れる時間も、少し長く眠る時間も、味わって過ごせます。耐えるだけだった往復の時間が、自分の意志で使える、生きた時間に変わるのです。同じ2時間でも、「早く終わってほしい」と願う2時間と、「何に使おうか」と考える2時間では、人生における意味がまるで違います。前者は差し引かれる時間で、後者は積み上がる時間です。通勤をなくすというのは、単に楽になるという話ではなく、消していた時間を、生きられる時間として取り戻すということなのかもしれません。
願って消す時間を、なくすために
毎日「早く着かないか」と願う時間を減らすために、キャリアや収入を手放す必要はありません。多くのビジネス職で、通勤ゼロや出社を大きく減らして働ける仕事は、実際に見つかります。気をつけたいのは、募集要項の「リモート可」という言葉が、必ずしも通勤のない毎日を意味しないことです。実際は週の大半が出社で、また「早く過ぎてくれ」と願う時間に戻ってしまうこともあります。本当にその時間を取り戻せるかどうかは、出社頻度の事実で確かめる必要があります。
NoTrainは、掲載する求人が実際にどれくらい出社するのかを、募集要項の原文まで一件ずつ確かめています。消したいと願っていた時間を、生きられる時間に変えたい人が、事実にもとづいて働き方を選べるようにするためです。
まとめ
満員電車で「早く着かないか」とだけ考えているとき、私たちは、いま過ぎている自分の人生の時間に、早く終わってほしいと願っています。楽しい時間なら、そんなことは思いません。「早く終わってほしい」と願わされている時点で、その時間は耐えるだけのものになり、人生の総量から静かに差し引かれています。しかも、それは自分で望んだことではありません。通勤がなくなれば、その消したい時間は、自分の意志で使える生きた時間として戻ってきます。毎日、人生の一部を消したいと願う。そんな時間を、当たり前として受け入れ続けなくてもいいはずです。
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